友への手紙
『なぜかよく思い出すのは、クリップを繋げてネックレスをつくっていたこと。他愛もない話をしながら、あなたが作ったそれを見て、私は、すてきと思った。その感性を見て、ずっと友だちでいたいとも思った。あなたはもう忘れているかもしれないけれど。
(中略)
真実は、精神を病んでいる人の中にあるような気がしている。
生涯一度も鬱になったり精神科に通ったりしないほうが、社会的には生きやすいし、心は楽なのだと思うけれど、それって、人間を表面しか味わっていないような気もするの。人間がどれだけ暗い闇に陥ることができるのか。自分の心との闘いの虚しさや苦しみや悲しみや孤独、生きることへの哲学。精神を病むというのは、つまりはそういうことだと思う。
だから私は、あなたを肯定したい。間違ってないよと、いいたい。病まずに生きる人たちの人生なんて上っ面だよ。たぶん。太宰治草間彌生ゴッホも、みんなそうだから。というのは、偏狭すぎるかな。でも、私はそう思っています。』