夏が過ぎ去った。
小さく息をして、charaの甘い声をiPodで聞いてばかりいた。朝、川がきらきらひかるのを見るたび、彼のことを思った。本を五冊読み、映画を六本観た。それだけの夏だった。『アクロス・ザ・ユニバース』のStrawberry Fields Foreverの流れるシーンがすてきだった。『SEX AND THE CITY』は期待以上で笑って泣けた。あとあと『グーグーだって猫である』もよかった。
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ばかみたいだけれど、彼のすきだと言ったもの、ぜんぶすき。あの頃より、ずっとその意味が分かるし、よさもわかる。たとえば、彼は珈琲をすきだと言った。豆を買って挽いて自分でいれると言っていた。珈琲はブルーマウンテンだけが美味しいと思ってたのに、そうじゃなかった。ほんとうに美味しい珈琲はたくさんあるし、挽き方や煎れ方で全然ちがうんだってこと、最近、たくさんの珈琲を飲んでわかった。ねえ、君ともっと話したいよ。優しくて気まぐれで意地悪で生意気な君と、もっと話がしたい。