恋人と付き合って半年が過ぎた。
せめて1年続けばいいなあと思ったわたしはチキン。
彼もわたしも、今までほんとうに好きな人と付き合ったことも、一年以上の付き合いをしたこともなかった。彼はあまり過去のことを話したがらないので詳しくは知らないけれど、少なくともわたしは、ほんとうに好きだと思える人と付き合ったことがなかった。
恥を忍んでいうと、嘗て2回だけ、付き合ったことがあった。ひとり目は全然好きではなかったのに、ただ『わたしのことを好きだといってくれる』ことに価値を感じて付き合った。でも結局半年も続かず自然消滅した。(わたしが25歳で相手は21歳だった。)ふたり目も、理由は同じだった。全然好きなタイプではないのに、ただ好きだといってくれる人がほしかった。やさしくしてもらいたかった。でも、結局最後まで、絶対的な価値観の違いを感じたまま、ほんとうに好きにはなれなかった。この人しかわたしにはいないんだと、ずっと思い込もうとしていた。彼に対して「好き」という言葉を発するたびに、胸が少し痛んだ。思ってもないことを言っている罪悪感が常に付き纏っていた。彼とは11ヶ月くらい付き合っていた。(わたしが27歳で、相手はひとつ下だった。)
もし許されるなら、今の恋人を、ひとりめの恋人ですと言いたい。彼と出会えると知っていたなら、あんなふうに自分を安売りすることはなかったと思う。ふつうの女子なら、あんなばかな付き合い方はしないだろう。でも、あの頃のわたしは、好きでもない人と付き合えるくらい、愛に飢えていた。ただ、わたしのことを好きだといってくれるだけで、よかったのだ。